スリー・ビルボード (Three Billboards Outside Ebbing, Missouri) 【ネタバレ・感想】

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アカデミー作品賞の最有力候補と言われている スリー・ビルボード を公開初日に観てきました。

スリー・ビルボード
Three Billboards Outside Ebbing, Missouri | 公式Facebook

アメリカの片田舎の大通りに並ぶ3枚の看板に、
ある日突然、現れた真っ赤な広告。
それは、地元で尊敬されている警察署長への
抗議のメッセージだった──。

アカデミー賞Rの作品賞への最短距離として近年特に注目されている、トロント国際映画祭観客賞受賞。先に開催されたベネチア国際映画祭でも脚本賞に輝き、早くも本年度賞レースの大本命との呼び声も高い話題作がいよいよ日本にも登場する。(公式サイトより引用)

スリー・ビルボード スタッフ・キャスト

スタッフ

  • 監督・脚本・製作:マーティン・マクドナー(
  • 製作:グレアム・ブロードベント(
  • 製作:ピーター・チャーニン(

登場人物/キャスト

  • ミルドレッド・ヘイズ(フランシス・マクドーマンド ):7か月前に娘をレイプされ焼き殺された母親
  • ビル・ウィロビー署長(ウディ・ハレルソン )エヴィング警察署長
  • ジェイソン・ディクソン(サム・ロックウェル ):エヴィング警察の警察官
  • チャーリー(ジョン・ホークス ):ミルドレッドの元夫
  • ジェームズ(ピーター・ディンクレイジ ):ミルドレッドに思いを寄せる小人症の男
  • アン・ウィロビー(アビー・コーニッシュ ):ウィロビー保安官の妻
  • レッド(ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ ):エヴィング広告の経営者
  • アンジェラ・ヘイズ(キャスリン・ニュートン ):殺されたミルドレッドの娘
  • ロビー・ヘイズ(ルーカス・ヘッジズ ):ミルドレッドの高校生の息子

ネタバレ

警察署長への非難広告

ミズーリ州エヴィングで、7か月前娘をレイプされて焼き殺されたミルドレッド・ヘイズは一向に犯人が捕まらないことに業を煮やし、「迷ったやつかボンクラしか通らない道」と言われる寂れた道にエヴィング警察のウィロビー署長を非難する看板広告を出した。看板には「レイプされて死亡」「犯人逮捕はまだ?」「なぜ?ウィロビー署長」と書いてあった。

その道を通りかかった警官のジェイソン・ディクソンは、家族とイースターのディナー中だったウィロビー署長に電話で報告をした。

ミルドレッドは広告について地元テレビ局の取材を受け、犯罪を放置しているのは署長に責任があると話した。ウィロビー署長はミルドレッドの家に出向き、努力はしていると説明したが納得してもらえず、自分が膵臓がんで余命短いことを話したが、ミルドレッドは死んだあとでは意味がないと言い放った。一方でウィロビー署長を慕っている警官のディクソンは、エヴィング広告社のレッドに広告をはずせと凄んでいたが、法的に問題ないはずだとはぐらかされていた。

街の人々は以前は娘が殺されたミルドレッドに同情的だったが、人望のある署長を非難する広告に憤慨し、ミルドレッドに直接抗議したり嫌がらせをする輩も現れたが、ミルドレッドは意に介さず反撃するだけだった。しかし広告社に匿名で広告代を提供するものが現れ、ミルドレッドを支援するものもあった。

そんな中ミルドレッドはただ一人の家族になってしまった息子ロビーからも、姉のことを忘れたいのに学校の帰りに嫌でも思い出すと激しい反発を受ける。その上元夫からも広告をやめるように言われ、事件の1週間前にアンジェラが母の元を離れて自分と暮らしたいと言っていたと追い打ちをかけられる。

署長の自殺

署長はアンジェラの事件を再び調べようとしたが、やはり手掛かりはないままだった。ある日署長は娘たちに学校を休ませて河原でフィッシングゲームを楽しんだ。家に戻った署長は馬小屋の掃除をするふりをして自殺した。妻に残した遺書には看病で苦労を掛けたくないというようなことが書いてあった。

署長はミルドレッドにも遺書を残していた。アンジェラの事件はDNAを調べたが犯人が分からなかったこと、数年たてば犯人がボロを出し捕まることがあると彼女を慰めていた。そして広告は良いアイデアだったとし、来月分の広告代を出したと書いてあった。匿名の支援者は非難されているはずのウィロビー署長自身だった。しかし街の人々はミルドレッドの行動が彼の死を早めたと非難を強めた。

ウィロビー署長が自殺したことを知ったディクソンは怒りを広告社のレッドに向けた。警棒で窓ガラスを破壊し、そこからレッドを下に投げ落としたうえ暴行したのだった。その上ディクソンはウィロビーの代わりに署長として赴任した黒人のアバクロンビーに不遜な態度をとり、警察をクビになってしまう。

憎しみの応酬

その夜ミルドレッドとロビーが看板のところを通りかかると、火をつけられ燃やされていた。ミルドレッドは消火器で必死に消そうとしたが、時すでに遅しだった。ミルドレッドは怒りに任せ警察署の向かいの広告社に入り込むと、何度か電話して中に誰もいないことを確認した。そして警察署に数本の火炎瓶を投げつけた。

その頃同僚からウィロビー署長の遺書をデスクの上に置いてあるから取りに来いと言われていたディクソンは、警察署の中で1人署長の遺書を読んでいた。それにはお前はいい警官になる、だからミルドレッドを助けて事件のことも調べてくれと書いてあった。警察署の前はミルドレッドの投げた火炎瓶で燃え盛っていたが、イヤホンをつけて音楽を聴いていたディクソンは爆風で吹き飛ばされるまで気が付かなかった。

ディクソンは火だるまになりながら道路へ出て、そこへたまたまやってきた小人症のジェームズが助けた。ミルドレッドはディクソンがいたことに驚いて唖然としていた。しかしジェームズがミルドレッドをかばって自分とデートしていたと話したために、彼女が逮捕されることはなかった。

焼かれた広告は、広告を貼ったスタッフがバックアップを持っていて貼り替えることができた。ジェームズも梯子を支えて手伝った。

ミルドレッドはジェームズに誘われてディナーに出かけた。そこへ元夫と19歳のガールフレンドが偶然やってきて、ミルドレッドを見た夫は酔っぱらって看板に火をつけたと告白した。ディクソンが火をつけたと思っていたミルドレッドは動揺し、そのあとジェームズに失礼な態度をとってしまう。怒ったジェームズは「俺は確かに理想の男じゃないが、今の君はしかめっ面の広告女で皆を非難してばかりだ」と吐き捨てて帰って行った。

そのころ大やけどを負ったディクソンは、顔中に包帯を巻かれて自分が暴行を加えたレッドと同じ病室に入院していた。顔が見えずディクソンのことが分からないレッドは彼に親切にした。署長の遺書を読んで改心していたディクソンはレッドに謝り、相手がディクソンだと分かったレッドはやり場のない怒りを露わにしたが、結局彼のためにオレンジジュースを入れて飲みやすいようにストローを整えた。

レイプ犯の告白

病院から出たディクソンは荒れてバーで飲んだくれていた。そこへ男が2人やってきてヒソヒソと女をレイプし火をつけたと話しているのが聞こえた。それはアンジェラの事件と酷似した内容だった。ディクソンは男たちが乗ってきた車のナンバーを確認し、わざと相手が手を出すように仕向けてボロボロになりながらDNAを採取した。そしてミルドレッドにそのことを話し、ミルドレッドはディクソンに感謝した。

ディクソンはDNAを調べた結果を警察署に聞きに行ったが、アバクロンビー署長は採取したDNAは犯人のものじゃなかったと言った。しかしレイプ犯には間違いない、どこかに被害者がいるとディクソンは詰め寄ったが、ディクソンが目を付けた男がレイプしたと言っていた時期には、彼は軍に従事して国外にいて犯罪を証明できなかった。

ディクソンは復帰の希望が絶たれ、ショットガンを自分に向けて抱えてミルドレッドに電話し結果を話した。ミルドレッドは落胆したがディクソンを責めることはなかった。ディクソンが「そいつはアンジェラは殺してないが、レイプ犯には違いない。そいつはアイダホに住んでいる。」と話すと、ミルドレッドは偶然明日アイダホに行くと答えた。ディクソンは持っていたショットガンを離し、翌日ミルドレッドとアイダホに行くために落ち合った。

ミルドレッドは火傷でただれたディクソンの顔を見て自分が警察署に火をつけたと告白したが、ディクソンは「あんた以外誰があんなことするってんだよ」と事も無げに言った。2人はその男をぶっ殺すのをどう思うかと話し、お互いに「あんまり」と言いながら車を出した。

感想

娘を殺された母親が、捜査が進まないことに苛立ち、いてもたってもいられず警察署長を非難する広告を出すというところからこの映画は始まります。

最初にミルドレッドが看板を見て爪を噛みながら何かを考えているシーンにはセリフがないのですが、その看板の大きさ、距離感、苛立って爪を噛んでいるミルドレッドの描写は見事で冒頭から引き込まれました。

一部でクライム・サスペンス的な宣伝をされていますが、サスペンス要素はほとんど感じませんでした。ヒューマンドラマですよね。

悲惨な事件がこのドラマの根底にあるのですが、ミルドレッドは悲しさと娘に向けた暴言の後悔を自分に向けるのではなく他人に向けています。まぁそのミルドレッドの口の悪いこと短気なこと、本当だったら娘を殺されて悲壮感が漂うのでしょうが、なんだか笑ってしまいます。この映画はフランシス・マクドーマンドありきだなぁと思いました。

その他ウィロビー署長の人の好さ、善人さ、すばらしさをウッディ・ハレルソンが好演していましたね。最初間抜けに見えたサム・ロックウェルの悩む姿も良かった。他の俳優も芝居のうまさ、間の良さを感じる作品でした。

それにしてもミズーリという南部の片田舎で、20年前かと思うようなステレオタイプのアメリカの辺境の悪さがわんさか出てましたね。暴力警官、黒人差別、LGBT差別、挙句の果てにはピーター・ディンクレイジまで出てきて周囲の人間がその容姿を差別します。

先日『デトロイト』という黒人差別を主題とした映画を見たばかりですが、日常に差別がありふれているこっちの方がアメリカの闇の深さを感じました。しかしだからと言って暗く深刻してしまうのではなく、口と態度の悪い母親を主人公にして笑えるところもあってよかったです。

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